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すばらしい北海道方言の世界

皆さん、こんにちは。
地域おこし協力隊の長谷川です。
(noteで記事を執筆するのはおそらく1年以上ぶりです。すみません)

突然ですが私は東京で生まれ、京都、山梨、横浜と住む場所を転々とする子ども時代を過ごしました。大学は再び京都へ戻り、その間に交換留学も経験して、社会人になってからはまた東京に戻りました。

両親は東京出身なので、私もほぼ標準語を話します。標準語話者にとって方言とは大変に魅力的なものです。こちら(北海道)に来てから丸三年が経ちましたが、関西弁や東北弁などよりかは比較的ゆるい北海道弁の中にも、なかなかに特徴的なことばがいくつか存在します。

特に有名なのは「なまら」あるいは「したっけ」でしょう。「なまら」は「とても、すごく」、「したっけ」は「それでは、それじゃ」などと訳されると思いますが、私は正直なところ日常生活ではほとんど聞いたことがありません。

今回は、私がこの三年間で実際に聞いた「実録」の北海道弁をいくつかご紹介したいと思います。

他地域にお住いの皆様でも「うちでも使う!」というものがあるかもしれませんし、道民の皆様の中には「これも方言だったの!?」という新発見があるかもしれません。どうぞ最後までお読みいただけましたら幸いです。

※北海道民の皆様におかれましては、用法に誤りや補足がある場合は、ぜひコメント欄でご教示いただけましたら幸いです。

その1 北海道方言のど定番 「〜さる」


「〜さる」は全国的にも知名度の高い北海道方言なのではないかと思います。これは、本当に便利な言葉です。自分の意思とは反するかたちで(≒不可抗力で)で起こってしまったことについて伝える自発の助動詞です。

例えば、スマホで入力していたときに別の文字をタップしてしまい「押ささった」など。

ネガティブな意味だけではなく「このスナック(美味しすぎて)いくらでも食べらさる」というような意味でも使うそう。

毎年夏になると、札幌市内の書店が合同で「ヨマサル市」というフェアを開催していて、こちらも「面白くってついつい読んでしまう」というようなニュアンスでしょう。「見えない何か」「幽霊のような何か」に突き動かされてそうなった、と説明をしているサイトもありました。

この言葉、責任逃れをするという意味では大阪弁の「知らんけど」と役割は似ている気がします。違うか。知らんけど。

2、「雪はね」「雪なげ」


雪かきと同様によく使われる表現として「雪をはねる」「雪を投げる」という言葉を使うこともあるようです。降雪があった日の翌朝は、ほぼ全ての人がいつもよりも早い起床を余儀なくされ、スコップやママさんダンプなる道具を駆使して除雪をするわけですが、このあたり(十勝)の雪は比較的湿気が少なく軽いことが特徴です。スコップですくってヒョイっと投げる、あるいは跳ね飛ばすという言葉がこの地域の「雪かき」を表すのにちょうどいいのかもしれません。

そういえば、除雪車が一箇所に集めた雪は即日ないし後日、町内の「雪捨て場」と呼ばれる堆積場(ただただ広い空き地)に持ち込まれます。北海道の冬は日中もほぼ零下なので、放置しておいても雪は溶けないのです。次から次へと迫り来る降雪に対処するには、人のいない広い場所に雪をわざわざ運搬し処分する必要があるのです。

3、うるかす


北海道を代表するドラッグストアといえばツルハドラッグとサツドラ(サッポロドラッグストアー)ですが、サツドラに「うるかすハトムギ化粧水」というオリジナル商品があります。

「うるかす」の意味は「水に浸して水分を浸透させる」「浸して湿潤な状態にする」というような意味で、もっともよく使われるのは「お米をうるかす」でしょう。米を炊く前に水に浸しておく、というニュアンスですが「お肌の潤いを保つ」という意味で使用されていることに思わず膝を打ちました。北海道ならではの商品名といえます。

4、過去じゃないのに過去形


これは、私が北海道に来てから特に感じた違和感のある方言でした。役場で電話を受け取った職員が「ヤマダでした」と過去形で名前を名乗るのです。

コンビニやファミレスの店員が使う「ご注文は以上でよろしかったでしょうか」的な、文言を柔らかく遠回しに伝えるのと同様の効果を狙っているのでしょうか。あるいは「今、電話に出ているその人物とは?…正解はヤマダでした!」と勝手にクイズ番組を繰り広げているのでしょうか。本当のところは分かりません。

5、あたる

私がほんの1ヶ月だけ芦別の観光農園で住み込みのアルバイトをしていたときのこと。ここでは、3日おきに小分けのレトルトごはんが支給されたのですが(「主食は用意してあげるからおかずは自分で作ってね」というご配慮でした)支給日に所定の場所を見ると私のボックスにだけごはんが入っていないことがありました。

担当のスタッフさんに「私の分のごはんがなかったのですが」と確認してみるとスタッフさんからの第一声は「あれ?あたってなかった?」でした。

これは、絶妙な方言だと思います。標準語話者の私は、このようなシチュエーションでは「あたる」という単語は使いません。「うるかす」「しばれる」などは標準語では決して使わない(標準語話者にとっての)「新出単語」なわけですが、標準語でも使用する既存の言葉に、方言ならではの意味が加わるというのは特に面白いです。ワクワクします。

標準語話者ならシンプルに「(箱に)入ってなかった?」とか「なかった?」とか返事をすると思うのですが、要するに「配られてなかった?」というニュアンスなのかなと。この話を道民にすると「方言だったの!?」と驚かれることが非常に多いです。

無自覚に方言を使えるって本当に羨ましいです。

6、汽車


標準語話者の私は、東京で毎日「電車通学(通勤)」をしていたわけですが、我々が思い浮かべる一般的な電車および列車のことを「汽車」と呼ぶ北海道民が想像以上に多かったことも移住してからわかった方言のひとつです。我々の思い浮かべる「汽車」は、真っ黒なボディに先頭車の煙突から黒煙を巻き上げて走る「SL」的なものですが、北海道民の汽車はもっと広義の、広く電車を指す言葉として使われているようです。電車が普及しても、汽車という呼び方はそのまま残ったということでしょうか。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
もちろんこちらでご紹介した方言を使用するか否か、あるいはその使用頻度については個人差や地域差もあり、一概に「北海道民が使う」と言えないことは事実です。

ただ、東京から移住をした一般人(やや言語オタク)が日常のあらゆる場面で実録した言葉であることは確かなので、皆さんも北海道を始め、地方を訪問した際はぜひ言葉採集をしてみることをおすすめします。

方言ってやっぱりいいなぁ。

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