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夏になったらハスカップを摘みに。【長谷川 彩】

こんにちは。
大樹町地域おこし協力隊の長谷川です。

皆さんは、この時期になると大樹町内でハスカップ狩りが楽しめることをご存知でしょうか?帯広大樹自動車道の忠類・大樹インターチェンジを降り、国道へと向かう道すがら、この時期になると「ハスカップ」ののぼりが立ちます。

今回は、むかいハスカップ園でのハスカップ狩りについてレポートしたいと思います!

そもそもハスカップとは?

ハスカップは、スイカズラ科スイカズラ属の低木で、この時期になると紺色の実をつける北海道特産の植物です。とはいえ、北海道固有の植物というわけではなく、本州でも標高の高い地域に自生がみられるようです。

ハスカップという愛らしい響きはアイヌ語のハㇱカㇷ゚(haskap=この植物の果実の部分のことをこう呼んだ)に由来し、原義は「枝条・の上・にたくさん〔なる〕・もの」といわれています。

アイヌの人びとからは「不老長寿の実」として重宝されたこのハスカップの実。特に抗酸化作用のあるビタミンEが豊富に含まれ、老化や生活習慣病の予防にも役立つといわれています。その他にも、同じく抗酸化作用がありコラーゲンの生成を助けてくれるビタミンCや、視力向上や眼精疲労によいとされるアントシアニン、カルシウムはブルーベリーの5倍以上含まれているというから驚きです。

実は、地球上に存在するありとあらゆる「ベリー」が大好きな私。ストロベリーやブルーベリーはもちろんですが、カシス、ラズベリー、グースベリー(セイヨウスグリ)、ボイセンベリー、レッドカラント(フサスグリ)、リンゴンベリー(コケモモ)などを頬張ってきた今までの人生でした。そんな私ですから、ハスカップの摘み頃を楽しみに待っていたに決まっています。

いざ、ハスカップ狩りへ!

6月28日、曇天。
気温はやや蒸し暑いくらい。

移住コーディネーターの岡山さんと、取材(という名の収穫)に行ってきました!

持ってくると良いもの
・ハスカップを入れるザルやかご、袋など
・ウェットティッシュ
・必要な方はビニール手袋
※ハスカップの実はかなり柔らかいので、もぎ取り方次第では指先が真っ赤に染まります。

服装
・動きやすい服装(特に足元は長靴がオススメです)
・お天気の良い日は帽子もあると安心

その他
・こまめな水分補給など、熱中症対策を徹底しましょう
・虫除け対策をしていると、なお安心です
・お手洗いは道の駅等で済ませておくことをおすすめします

▲目印の「ハスカップ」ののぼり

ハスカップののぼりを頼りに駐車場に車を停めたら、目の前には果てが見えないくらいのハスカップ畑が広がっています!

受付は特に存在せず、ただ入場し、ひたすらハスカップの実を摘み取っていきます。ちなみに時間制限もないので、自分が取りたい分だけ収穫することができます。(とはいえ、この数週間でハスカップを求めて多くの方がやってきますから、節度をもって収穫しましょう)

実際のハスカップの実です!

熟しているものであれば、ポロっと簡単に取ることができます。樹高もおよそ1メートル前後なので極度にかがんだり、見上げたりする必要がなく、普段の姿勢のまま摘むことができるのが最高です。

ハスカップの実は、ブルーベリーに比べるとやや細長く、紡錘形などと形容されることが多いのですが、私が畑の終着地までくまなく(いや、くまはあったはずですがかなり細かく)観察したところ、木によって形は様々。わりとまん丸のものもあれば、ラグビーボールのような形のものもあり、個体差がありました。

ハスカップは酸味が高く、生食よりは加工品として用いられることが多いのですが「では、どんな条件であれば甘い実がなるのか」?

世界中のあらゆるベリーが好きで酸味に強い私が、(僭越ながら)摘み取りと並行して試食もさせて頂いたのですが、……法則は分かりませんでした。「熟しているほど(色が濃いほど)甘い」というわけでもなく、「形が丸いほど甘い」というわけでもなく、「小ぶりなほど甘い」というわけでもなく、同じ木でも実のなる場所によって差があり、全然分かりませんでした!それがまた面白いところなのかもしれません。

▲ボールいっぱいにハスカップを摘む岡山さん

開始から約1時間半。「今日はこのくらいかな」と満足できるくらい摘むことができたら、駐車場付近にある小屋のなかで計量です。

お伝えするのが遅くなってしまったのですが、こちらのハスカップ狩り。なんと「1kg=500円」という破格の値段で提供されています。私と岡山さんが1時間半で摘み取れたのは大体このくらい。

▲クローバーが咲く地面にバスケットを置くと…映えます
(ただし木製のバスケットに直接ベリーを入れることはお勧めしません。染まります)

と、いっても写真では伝わらないかもしれませんが、これで500g。ということは250円です。どうですか。皆さん。これを破格といわずして何といおう、ではありませんか?

逆にいえば、1時間半で500gしか詰めなかったというのもまた事実。私はここで、いかに農家さんのお仕事が大変かということを身に沁みて感じたのです。手塩にかけて育てた野菜や果実は、収穫にもこんなに時間がかかるんだ、と。

収穫をしながら、岡山さんといろいろな話もできました。総じて、大満足。むかいハスカップ園さん、ありがとう。

むかいハスカップ園 向井稔さんのお話。

▲オーナーの向井稔さん

後日、オーナーの向井さんにお話を聞くことができました。向井さんは御歳85才!取材依頼のお電話をすると、すぐに車を運転してハスカップ畑まで来てくださいました。…ありがとうございます!

ハスカップ園の始まりは30年以上前。大樹町東和(とうわ)地区の有志7〜8人で実生(みしょう=種子から発芽したての状態)の苗を植えるところからスタートしたそうです。実生の状態で3年、畑に本植えをして3年、合計で5〜6年ほどの歳月をかけて大きくしていったそうです。

高規格道路の延長のため現在工事をしている場所から1300株全てを今の場所に移植したのが3年前。その前年の夏に実を収穫し終え、秋に移植作業を行い、翌春にはきちんとまた花が咲き、実をつけてくれました。以前の場所よりも日当たりが良いのか、現在の場所の方が色付きが早いそうです。

「(ハスカップの木を育てるのは)年寄りの仕事」と冗談めかして笑う向井さん。ほぼ毎日、畑に出向き草刈りや枝の剪定をしてくださっています。

ちなみに、向井さんでも「どの実がおいしいのかは食べてみないと分からない」とのことでした!

摘んだハスカップ、それでどうなった?

最後に、私と岡山さんがハスカップをどんなふうに加工したのかをご紹介します。まずは岡山さんからです。

(1)ハスカップの塩漬け
岡山さんから初めて聞いたのですが、なんと北海道の一部の地域、ご家庭にはハスカップを塩漬けにして梅干しのように食べる習慣があるそうです。ハスカップにその8〜10%の塩を和えるだけ。梅干しと同じ要領でおにぎりの具材にしたり、ハスカップと醤油と番茶を合わせた「梅醤番茶」ならぬ「ハスカップ醤番茶」を作ったりと、いろいろな使い道がありそうです。

続いて私は、ハスカップ酒とジャムを作ってみました!(初心者!)

(2)ハスカップ酒
こちらも梅酒を作る要領で規定量の氷砂糖、ホワイトリカーを詰めるだけです。梅酒であれば、氷砂糖と梅干しを何層かに重ねていくのだと思いますが、ハスカップの実はとても柔らかく潰れやすいので私は氷砂糖の上にハスカップを載せました。※なお初めての試みなのでうまくできるかは神のみぞ知る…です。

▲外出していたため5日間何もできずこんな感じに(これはこれできれい)
でも撹拌した方が良さそうです

※果実酒は分量や保存瓶の形状によっては、炭酸ガスが溜まって瓶の爆発や破損の危険性があるので、ガス抜きをするなどお気をつけてください。

(3)ジャム
こちらは定番ですね。冷凍したハスカップにグラニュー糖をまぶして30分ほど寝かせた後、火にかけます。20分ほど弱火で煮詰めながらアクを取り、とろみが出てきたら完成です。

▲酸味と甘みが最高に合います。いちばん好きな味

※実際の分量は書籍やインターネットで検索してみてくださいね。

参考URL:
https://hokkaidofan.com/haskap-foodstyle/?fbclid=IwAR0GdyndfdrUxTu3aXrZt_9gn1qPmgTHDRWDMsoFzmx86UpeXT1i8PAeIT4

いかがでしたでしょうか。健康にも良いハスカップの実。こんなにも良心的なお値段で収穫体験までできるなんて、まさに一石二鳥です。

今シーズン終了まできっとあと少し。まだの方は、ぜひ足を訪れてみてください。北海道ならではの経験ができるはずです。

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