小学生の地引網体験は、漁協青年部の熱い思いが込められている素敵な行事だった【岡山ひろみ】
みなさんこんにちは!町民ライターの岡山ひろみです。
大樹町は港もあり、牧場もあり、畑もある、一次産業が盛んな町です。漁業に関しては2つの漁港があり、サケやマス、ホッキ、シシャモ、ツブなどが水揚げされ、一年を通して立派な魚介類がスーパーマーケットに並んでいます。
そんな水産物はとっても身近ですが、漁をしているところを実際に見たことがある方は少ないのではないでしょうか?ましてや、漁を体験したことがある方は、きっともっと少ないですよね。大樹町では、小学4年生になると、大樹漁協青年部のサポートを受けながら地引網体験をする機会があるそうです!今回は、2021年の7月に行われた地引網体験学習をご紹介します!
***
7月のとある日。予定していた開催日を一度延期し、その日はやってきました。大樹漁港に停まる漁船を横目に進み、港の奥にある砂浜に集合しました。砂浜といっても、砂利のようです。児童たちは、長靴に履き替え、軍手を履き(北海道弁では手袋は履くと言います)、雨具を着込んで準備バッチリ。
ところで、地引網漁はどのように行われるかご存知でしょうか?
地引網で使用される網は、漁獲をするため中央部が大きな袋状(袋網=ふくろあみ)になっていて、その両端は逃げ道を遮る「袖網(そであみ)」と陸に上げて引っ張る「引き綱」で構成されています。
まずは、網を海に設置するところからスタートです。岸から少し離れたところに魚がいるとします。その魚に気付かれないよう、船でぐるっと群れを囲うように半円状に網を海に落とします。その後、引き綱を陸に引き上げなければならないのですが、船では陸地に行けないので、船上の人が陸の人へ綱を投げ渡します。陸の人がキャッチできたら準備はOK。
両端を引っ張ると、沖や両端に逃げようとする魚が袋網のなかに入っていく、という仕組みになっています。とはいえ、小学生の力で、無事に引っ張りきれるのでしょうか?
どんよりとした分厚い雲に覆われたこの日、どうやら漁には向かないほどの高波…船がありえないほど揺れています。それでも、「縁あって大樹にいるわけだから、体験してもらいたいという大樹漁業協同組合青年部員の強い気持ちがあります」と、振興部部長の小笠原さん。海の男の強い意志で、この地引網体験は開催されました。
小船はどんどん遠くへ進み、網を設置しています。網の両端についたロープを受け取るのは、手前の方。長い棒で引っ掛けるようなのです。
赤い浮きが見えるでしょうか?かなり岸の近くまで寄って投げています。しかし、波が高く小船が揺れ、なかなかうまく行きません。
セイヤッ!!!!
思わず児童たちから「がんばれー!!」の声。
何度かトライし、ようやくロープが陸に上がりました。これで網を引っ張ることができます。
2組に別れ、それぞれ2列になって整列している児童たちのもとに、ロープが届きます。
いよいよ小学生たちの出番です。
どうやら運動会のつな引きとは勝手が違うようです。波の力が強く左右に振られて危ないため、足は動かさず、手だけで引っ張ります。縄を後ろに送るイメージのほうが近いかもしれません。
だんだんと網が見えてきました!
悪天候のため、波の引く力が強く、漁師さんたちが踏ん張ります。
腰を低くして波とガマン比べ。あと、もう少しです!
力を合わせての地引網、やっと網の全貌が見えてきました!カモメもたくさん集まってきています。
待望の魚たちとの対面です!
この日は、キュウリ、ウグイ、ニシン、シシャモ、サブロー、カワガレイ、チカが獲れました。自分で獲った魚は嬉しさ格別!大樹漁協青年部の方に「これ食べれるの〜!?」と聞いたり、獲った魚を私にまで見せてくれたりしました。みんなで山分けした魚、食べるのが楽しみですね!
この地引網体験学習は15年以上前からやっている行事で、小中高と一貫して大樹のことを学べる「大樹学」のカリキュラムの一つです。現在はコロナウイルスの影響もあり大人数の参加は避けていますが、元々は親子で参加できる行事です。春には鮭の稚魚を放流し、夏に地引網を体験、秋に大樹で獲れた鮭を使った調理実習という3部作。自分が住んでいる地域の産業を体験しながら学べるようになっているそうです。
この日、地引網体験後は大樹漁協の施設を見学しに行ったそうで、一日を通して大樹町の基幹産業を間近に見た小学生たち。きっと、「大樹町では美味しい魚がたくさん穫れるんだ」と誇らしくなったことでしょう。
恥ずかしながら、大人になって初めて漁を体験した私。地引網後、スーパーマーケットに並ぶ魚が有り難くて眩しく見えます。
大樹町の小学生の教育についての記事はこちら
大樹町の小学生の習い事についての記事はこちら