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宇宙のまちで、遠い宇宙に思いを馳せる【岡山ひろみ】

大樹町には、「高校開放講座」というものがあります。

町に唯一の高校である大樹高等学校の先生が実践されていることや挑戦してみたいことを、大樹町民に提供する生涯学習事業です。2月の頭には、アップサイドダウンバナナシフォンケーキ作りが行われました(私は参加できませんでしたが、とても美味しそうでした)。

「もしかしたら…友だちができるかもしれない…!」(私は大樹町の友だちがほとんどいません)
少しだけ邪な気持ちもあり、次の高校開放講座には絶対に参加しようと決めていた私。チラシを見た瞬間、急いで応募しました。

その高校開放講座は「思わず子どもや同僚に伝えたくなる地球・宇宙の話」というテーマで、メムアースホテルで行われました。

講師は、大樹高等学校の高野圭先生。私はちょっとしたハプニングのため遅刻し、最前列で受講しました。遅れての登場は恥ずかしかったです。

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意外と知らない、地球の話

授業は、こんな問いから始まります。

「子どもや同僚に『宇宙ってどんなもの?』と聞かれたら、どう答えますか?」

最初から難題です。一人ひとりにA4サイズのホワイトボードが配られ、絵や文で説明します。ある参加者は太陽系の惑星を図にしたり、ある方は「みんなの夢」と文章に。私は「遥か昔からみんなの憧れ」というテーマで絵を描きました。

「地球が球体だと説明してみてください!」
「地球の形は横長?円?縦長?」
「地球の直径が1.3mだとすると、エベレストの高さはどれくらい?」

次々と出される質問に、しどろもどろ…
「これは中学生の時に勉強した気がする…何だっけ…」
と深く記憶を探るにも全くアテにならない私の知識。あぁ、義務教育は何だったんだろうと思わず悲しくなるほどでした。

ここで突然ですが、皆さんに問題です。1961年にボストーク1号に乗り人類史上初の有人宇宙飛行を成し遂げ、「地球は青かった」という言葉で有名なソ連の宇宙飛行士・ガガーリンは、地球からどれくらい離れた場所から地球を見たのでしょうか?地球の直径が1.3mとして考えてみましょう!(下の写真が直径1.3mの地球の模型です)

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直径1.3mの地球模型から1cmも離れていないんじゃないか?いやいや、さすがにそれは近すぎる。5cmくらいは離れていそう。でもそれじゃ地球全体なんて見えなかっただろうし、「地球は青かった」って言えるくらいなんだから、2mくらい(上の写真のホワイトボードがある距離くらい)は離れていたんじゃない?
なんて声が聞こえてきそうですね。

この模型で考えると、正解は、なんと3cm!「近すぎる!」と思った皆さん、同感です。そりゃ、「地球は青い」としか言えない距離ですよね。ちなみに本物の地球の大きさで考えると、地上から約300km離れています。インターステラテクノロジズ株式会社が打ち上げている観測ロケットMOMOは地上から約100kmまで到達して海に着水するので、大樹町の皆さんは300kmという距離を実感できるかもしれませんね。

今までなんとなく想像していた宇宙が、どんどんとクリアになっていきます。

地球と月と太陽を30億分の1サイズで考える

地球の大きさを初めて測ったのはエラトステネスという、紀元前275年頃に生まれた人でした。古代ギリシア人は、地球と月と太陽の大きさや、地球から月までの距離を知っていたんです!そんな昔から知られていたとは、驚きました。

授業の後半では、地球と月と太陽の距離を「実感」してみました。
前半では、地球の直径を1.3mで考えましたが、今回は地球と月と太陽の30億分の1サイズの模型で考えます。30億分の1サイズで考えると、地球の直径は約4.3mmになるのでBB弾ほどの大きさ、月の直径は1.2mmなので仁丹(銀色の口中清涼剤)ほど、太陽の直径は約45cmなのでバランスボールくらいだそうです。

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30億分の1サイズで考えると、地球と月は13cm離れていることがわかりました。では、同じく30億分の1サイズで考えると、直径4.3mm地球と直径45cmの太陽はどれくらい離れているでしょうか?
すごく離れていることは知っていますが、地球の直径が4.3mmで考えると…離れていると言ってもたかが知れている。10mとか、20mくらいかな?なんて考えていました。

正解は、約50メートル!想像よりも遠かったのです。
実際に外へ出て確かめてみることに。

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太陽(赤いバランスボール)を持った先生がどんどん離れていきます。地球視点で見ると、太陽はものすごく遠くて…こんなに離れていても丁度いい暖かさの光を降り注いでいるなんて。
知ってはいましたが、太陽ってとっても熱いし宇宙って広いんですね(笑)こんなチープな感想しか出てこないほど、知ってはいるけど実感できていなかった宇宙が、そこには広がっていました。

宇宙は広かった

授業の最後は恒星です。恒星は太陽のように自ら光っている星のこと、というのは小学生の時に習った記憶があります。でも、どれくらい離れているか、なんて知っていますか?
地球から一番近い恒星は、南半球で見ることが出来るケンタウルス座のα星だそうです。一番近い恒星が地球からどれくらい離れているかというと、4.2光年!
1光年は、光が1年かかって届く距離ですが、光は1秒間に30万km進むので1光年は約10兆kmということになります。もう、想像もできないほどの距離です。

かつて船乗りたちが位置を確認するために見上げていた北極星は、なんと430光年も離れています。とてつもなく遠いですよね。真冬の空に輝くオリオン座も、夏の夜空に羽ばたくはくちょう座も、全てケンタウルス座α星よりも遠いところで輝いているなんて…宇宙が広く遠いということが、よく理解できました。

※ちなみに…30億分の1の大きさで考えると…?
直径4.3mm、30億分の1の大きさの地球(BB弾)を思い出してください。太陽との距離は50mでしたが、ケンタウルス座α星はどれくらい離れていることになるでしょう?なんと1万3000kmでした…。
北極星は、30億分の1の大きさで考えると、上の写真の青いBB弾から13万kmも離れたところにあることになります。

授業の最後に、国立天文台が作った「Mitaka」というソフトで宇宙の広がりがイメージできる動画を見ました。地球の地平線からどんどん離れていき、太陽系の惑星を越え、数々の恒星の間を進み銀河系よりも遠くまで離れていく映像です。
授業の動画に近しいものを掲載しておきます。

私は授業の最初の「子どもや同僚に『宇宙ってどんなもの?』と聞かれたら、どう答えますか?」という問いに対し、「遥か昔からみんなの憧れ」と答えたのですが、まさにその理由が詰まった映像だったと思います。想像できないほど遠く広い宇宙。4.2光年離れたケンタウルス座のα星の今日の輝きは、4年程前に輝いたもだなんて理論上は分かるけどさっぱり信じられない。これだけ広くてわからないことだらけだから、だれもが憧れるのではないでしょうか。
今回の授業を受けて、やっぱり宇宙人もいる気がするし、宇宙戦艦もありそうだし、どこかでモビルスーツを着て戦っている人もいそうだし、インフィニティ・ストーンが散らばっていそうだし、M78星雲も存在しそう…と思うのでした。

宇宙から見たら人間なんてちっぽけな存在ですが、ここ大樹町から宇宙に行こうとしていることを考えるととてもワクワクしますよね。遥か昔から、今だって、みんなの憧れ。宇宙のまちで遠い宇宙に思いを馳せる、そんな高校開放講座でした。

※ちなみに、友だちはできませんでした。

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