「時間割は1週間ごとに変わる」「体操着は不要」道外の人はみんな驚く大樹町の小学校【岡山ひろみ】
みなさん、こんにちは!町民ライターの岡山ひろみです。先日、本州から大樹町に家族で移住された岸本純愛さんとお話していたら「大樹町の小学校に、とっても驚いた!」とのこと。色々話を聞いていくと、北海道の共通ルールと、大樹町独自の取り組み、それぞれ珍しいことがあるようです。特にお子さんがいらっしゃる方は、移住先の学校教育が気になりますよね。今回は、実際に移住して大樹町の小学校に驚かれた岸本純愛さんと、大樹町教育委員会の石塚英一さんにお話を聞いてみました!
みんなに優しい週替りの時間割
岡山:
岸本さんには小学生のお子さんがいらっしゃいますよね。大樹町の小学校で驚いたことはありますか?
岸本さん:
たくさんあるけど、1週間分の時間割表をもらえるのは、かなりびっくりでした!大樹町に来る前は、毎朝翌日の時間割表を書き写していたので。
↑ 最近大樹町に移住された岸本純愛さん
岡山:
えっ!時間割が毎日変わるんですか!?大変そう…
岸本さん:
そうなの。だから、時間割を1週間分もらえると、めちゃくちゃ助かるよ〜!
岡山:
具体的にどんなことが良いんですか?
岸本さん:
親目線では、前もって持ち物の確認ができるよね。体育の日はジャージや動きやすい服を準備したり、暑くなりそうな日は水筒の麦茶を多めにしたり。色々準備しなくてはいけないことわかるので、とても助かります!
岡山:
お子さんをサポートする親御さん的には嬉しいですね!
岸本さん:
娘も、毎日ノートに時間割を書かなくても済むので、楽って言ってた!
体操着に着替える文化がない!?体育のとき、どうするの?
岡山:
他にも驚いたことはありますか?
岸本さん:
体操着が不要で、体育の授業がある日はジャージを着て登校する文化も新鮮でした!
岡山:
これに関しては、私のTwitterでも「ジャージに驚いた」という声が続出でしたね。
「体育の時間に体操着の代わりに学校指定のジャージを着る」のではなくて、「体育がある日は動きやすい服装で登校する」というルールですもんね。体育で汚れたり、汗をかいたらどうするの?と思われる親御さんもいらっしゃるかもしれませんが…特に気にしませんよね(笑)
岸本さん:
体操着も指定ジャージもないけど、上履きも運動靴でOKだよね。それも移住して初めて知りました!
岡山:
道外は上履きも学校指定なんですね!指定される意味ってあるのかしら…逆に驚きました。
岸本さん:
他にも、小学校から離れた場所に住んでいるお子さんには送迎バスもあったり、2年生からは自転車通学もできたり。スケート靴はレンタルするし、寒すぎる冬はスキーウェアで登下校するとか、色々と驚きました!
岡山:
大樹町に住んでいると当たり前になりすぎていることばかりですね。
岸本さん:
小学校も、生徒数が少ないと勝手に思い込んでいたのですが、2クラスもあるんですよね!1クラスの生徒数が20人前後だから、先生の目が届く範囲で良かったと思ったし、何より先生たちが若くて元気な方が多くて。
岡山:
それは好印象ですね!
岸本さん:
はい!校舎も木が多く使われていて雰囲気がよいし、図書スペースもとてもきれいでした。
岡山:
小学校は、約10年前に建て直されたばかりみたいですね!
地引網に、植林体験…大樹町ならではの教育の取り組み
岡山:
ここからは教育委員会社会教育課の石塚英一さんにお話を聞いてみたいと思います!大樹町ならではの学校教育の取り組みを教えてください!
↑教育委員会社会教育課の石塚英一さん
石塚さん:
大樹町は大樹町は南東部が太平洋に面し、西側には日高山脈がそびえ、中央部には広大な十勝平野が広がっています。
ですので、農業を中心に漁業、林業を基幹産業として発展してきました。そういう背景もあるので、地元の農協や漁協青年部に協力してもらって一次産業を体験するカリキュラムを各学校で実施しています。
岡山:
地元の人たちの協力体制があるんですね!
石塚さん:
例えば、小学校では毎年夏に地引網体験を実施しています。漁協青年部がサポートしてくれて、みんなで網を一生懸命引くんです。自分の顔より大きなカレイが獲れたりして、びっくりしました。
岡山:
そんな大きなカレイ、なかなか見ないですよね!
石塚さん:
大樹では結構大きな魚が穫れるんですよ。自分たちで獲って、生きている魚をさわって、魚を調理して食べて。すごく良い経験ですよね。浜があっても地引網できる地域が少なくて、貴重な経験みたいです。
畑作体験から、メンデルの遺伝の法則を学ぶ!?
石塚さん:
他にも、3年生ではJA青年部の協力のもと、畑作体験もやりますよ!畑の管理や、苗植えについて指導していただいています。
岡山:
JAの方がサポートしてくれるなんて、本格的ですね!
石塚さん:
理科の授業で「メンデルの遺伝の法則」を習ったのを覚えていますか?黄色のエンドウマメと緑色のエンドウマメをかけ合わせると全て黄色のエンドウマメができる…「優生の法則」ですね。2020年以後は「顕性・潜性」で教えています。実はスイートコーンもそれに注意しなきゃいけないんです。
飼料用に育てられているデントコーンってありますよね。大樹町は酪農がさかんですから、至るところで作られています。人間が食べると甘みがなく美味しいと感じないのですが、その花粉が風に乗ってスイートコーンと受粉してしまうと、硬くて甘みのないコーンができちゃうようです。だから、ここだと交雑しちゃうから工夫しようとか、そういう話が出ます。
↑これがデントコーン。
丈は2m以上あり、スイートコーンの草丈よりも大きいです。
岡山:
そういう体験ができると、理科の授業もすんなり理解できそうですね!
石塚さん:
そうそう。他にも、中学校で林業の勉強をしたり、高校で大樹町産の食材を使って料理学習をしたり、小中高と一貫して大樹のことを学べる「大樹学」というものに一体となって取り組んでいます。
岡山:
面白いですね!大樹町で大樹町を学ぶって、すごく地域への誇りが持てそうです。
石塚さん:
「たいきの歴史」、「たいきの自然」、「未来のわたし」、「宇宙」、「町や社会のしくみ」という5つの観点から、小中高と一貫して学ぶ事ができるカリキュラムがあるんですよ。
学校だけで完結するのではなく、STEP(南十勝長期宿泊体験交流協議会)や宇宙交流センターSORA、町内の企業など、多くの町の人たちが関わりながら学校教育が行われています。
岡山:
大樹町ならではの授業ですね!
石塚さん:
学校教育ではないですが、教育委員会の取り組みとして、町内の小学生を対象にした体験講座「あつまれ!大樹っ子!(たいきっず)」というのもおこなっています。
岡山:
どんなことをやるんですか?
石塚さん:
過去には、星座盤作りや体験型の科学入門講座、箸づくりや料理教室など、「何かをしたい」と思う児童に向けて幅広い体験講座を用意しています。去年は新型コロナウイルスの影響で、人数制限もあったんですが、これも大樹町ならではの取り組みですね!
いかがでしたか?海も山も畑もある、そんな大樹町ならではの学校教育の取り組み、非常に興味深いですよね!普段食べている魚や野菜は、どんな人たちが関わって、どうやって食卓に並ぶのか。実際に生産に携わる人のもとで体験をすると学べることは大きいのではないでしょうか。
私も地引網体験、してみたいなぁ!
大樹町小学校ホームページ http://www.taiki.ed.jp/~taikisho/