北国に生まれたからにゃ 冬支度の心得【ゲストライター 桑原美樹】
こんにちは!
外遊び大好き、私の人生訓は「面白おかしく生きる」。
大樹町役場に勤務する
ゲストライターの桑原美樹(くわはらみき)です。
なんだかんだ言っても、厳しい寒さもあと1カ月。
春の香りが待ち遠しいですね。
大樹町を囲む日高山脈を眺めていると、
山の頂きにはもっこりとした雪帽子は見えず、山肌が見え、
今冬も雪が少なかったなと感じます。
降雪量が少ないとそれはそれで除雪などの
不安材料が減っていいのですけどね。
実は、私が恐れているのは大雪ではないのです。
「雪が降るとあたたかい」って本当?
「十勝晴れ」という言葉があるのを知っていますか?
十勝の冬は空気がカラッとしていて、晴天が続きます。
樹氷がキラキラ、ダイヤモンドみたい。
真っ白な平野に、雲ひとつない青い空。
白と青のコントラストが最高!
ウキウキするような晴天の中、野外で遊びまくって
いざ夜の部へ。
昼間から一転して、ここから放射冷却現象の洗礼を
受けることになるのです。
これを簡単に説明します。
冬季は寒いので、室内でストーブをガンガン焚くと
部屋はカラッとして乾燥します。
洗濯物を干せば一夜で乾くし、湿度が上がるので気温は上昇。
室内はぬくぬく~。
「北海道あるあるネタ」で必ずランクインするのは、
寒い冬でも室内では半袖でアイスクリームを食す。
放射冷却現象はこのメカニズムと似ています。
晴れの日の場合、
日中は雪焼けしてしまうほどの強烈な太陽が地面に降り注ぎ、
水分が少ないため外気は乾燥します。
一方、雪が降れば空には雪雲が立ち込め、
地面から逃げる熱を地球から逃さないようガードしてくれます。
雲から跳ね返ってきた熱は、空気を暖めてくれるという仕組み。雪に含まれた水分は、前述の「室内干しの洗濯物」と同じ役割をします。
湿気を帯びた空気は、ほんわかあたたかい。
でも、天気が良ければ空に雲はないし熱は地球の外へ逃げ放題。
地表面から一気に冷え込みます。これが恐怖の「底冷え」です。
なんか、おかしな話に思えますが
実は雪が降っている夜のほうが、あたたかいのです。
苦し紛れの戦法へ
私自身、北の暮らしに慣れているとはいえ寒さは大の苦手です。
最近どうしてこう寒いのか。
より身に沁みてきました(地球温暖化の原因もあるかもね)。
寒がりなくせに、キンキンに冷えた泡の出る飲み物を
毎晩頂いているせい?
床から、壁から、隙間からも、じんじん冷気が伝わってきます。
足先、首元、鼻と順々に冷たくなって
布団の中に潜り込み、身体を伸ばしたり縮めたり。
もがいても、どこからも暖かさはやってこない。
結局眠れず寝不足に。
眠れなかった翌日って、なんだか虚しくなりませんか?
ものすごい疲労感と。
靴下を履いて、フリースの上下を着て、カイロを貼ってもダメ。
夜が怖く朝が辛かった……。
冬は空気が乾燥し、喉がカラカラになるので
睡眠中の暖房は(経済的なこともある)やめていますしね。
そこで、ひらめきました最後の手段を。
登山やキャンプで使うシュラフ(寝袋)を使ってみた。
山の中でも寝泊まり出来るのだから、マイナス気温でも大丈夫。
これはいい仕事しますよ。
ただ、地震などの緊急時には不安がありますね。
瞬時にチャックを開ける自信がない。
トイレに目が覚めたときとか、とっさの行動には不向きかも。
それに、これを永遠に続けていくって無理がある。
プライドを捨てて折れてみた
湯たんぽなんて……。バカにしていました。
それに、毎度毎度お湯を沸かして、
布団に入れるなんて私には絶対無理。
面倒臭がりやなもので、たったこれだけの作業でも
億劫に感じるのです。
だから、人に勧められながらも拒否し続け数年……。
母が湯たんぽ用のお湯を沸かしていたときに
「試しに使ってみな」と私の分も用意してくれました。
聞こえるか聞こえないような声で礼を言って、さっと持ち逃げ。
すぐに布団の中に投げ入れました。
30分後に布団を開くと、
じわ~~と空気からも伝わる優しいぬくもり。
足を入れると、温泉に浸かった時のような
「はぁ~~」という声が漏れリラックスMAX!
楕円型に伝わった布団の温かさが、
じんわり身体の芯から温めてくれる。
温かさが長く続くので、朝までぐっすり。感動!
すっかりハマりました。
面倒臭さと勝負したら、ずっと続く幸福感の勝ち!
そこから冬の湯たんぽ生活がスタート。
この出会いは、私の睡眠を一変させました。
ちなみに、湯たんぽの残り湯は洗顔に使うのには
ちょうどいい温度です。
洗濯や、食器洗いにも使用したりしています。
受け継がれる先人の知恵ですね。
手編みの靴下コレクション!
冬の保温アイテムで、ぜひとも紹介したいのが
私が愛してやまない毛糸の靴下です。それも手編み!
陽だまりのような温もりを知らずして、ダサいと言うなかれ。
登山仲間も愛用しています。
冬山はどうしても足先が冷たくなります。
だから、毛糸の靴下は最強の相棒なんです。
ダダーンと、ここまで言い切っておきながら恥ずかしいんですが、
私が編んでいるわけじゃないんですよ。
春先から叔母がせっせと編み、冬になったら私のもとへ運んでくれます。
本当にありがたい。
昔は、着なくなったセーターなどをほどいて、
靴下や帽子に編み直すことが多かったようです。
余り毛糸を集めて編んだりすると、左右違った模様で、
カラフルな色合いになって斬新なデザインに。
目が締まり、固くしっかり編まれた靴下は温かくて頑丈です。
なんせ寒い冬は、ほんわかなやさしい温もりに包まれたいものです。
なんと、靴下を販売していたのですよ!
昔の黒や茶色の地味なイメージを払拭し、
赤やピンク、黄色と洗練されたセンスが光ります。
「おっしゃれ~!」「かわいい!」と大興奮でした。
今でも、編み続けている方がいることにも嬉しくなりました。
あの人にも、この人にも履いて欲しい。
毛糸の靴下の良さをみんなと分かち合いたい。
そんなことを考えながら、目移りしながら選んでいました。
このまま靴下愛が続くなら、まずは自分で編んで
お世話になっている方にプレゼントできたら最高ですね。
面倒くさがりだから、
始めても続くかどうかが問題ですけど……。
北国に生まれたからにゃ
みなさんは、厳しい冬をどう乗り切っていますか?
今や防寒グッズは優秀で、たくさんのアイテムが出ていますね。
試行錯誤しながら見つけた頼もしい冬の戦術品は、
自身の今後の強い味方となっていくでしょう。
北海道で生まれたからには、そして北国に来たからにゃ、
半端ない寒さの冬を楽しみましょう。
「そもそも、冬とはこういうものなのだー!」
さてさて私の靴下コレクション、
今後どこまで増え続けるか……。乞うご期待!